グローバルウェイのヘッドハンター部門は、なぜ人気企業を取材して記事にするのか?

ヘッドハンティング事業を行うリクルートパートナー事業本部では、転職志望者に人気の大手日系・外資系IT企業のCxOを対象に、働き方や業界の課題について取材し、記事としてキャリコネニュースに掲載しています。

なぜそのような取り組みを行っているのか、大手企業に取材するうえでのコツはあるのか。グローバルウェイの事業をメディア面で組織横断的にサポートする、取材担当のH.U さんに話を聞きました。

人気企業のCxOに独自インタビュー

幅広く情報収集し、独自の強みにつなげる

――そもそもどういう目的で企業取材を行っているのでしょうか。

一番の目的は、働く若い読者に有益な情報を提供し「転職」に関心を持ってもらうことです。取材結果の一部は、メディアプロデュース事業部が運営する「キャリコネニュース」に記事の形で掲載し、主要ポータルサイトに配信しています。

これに加えて、リクルートパートナー事業本部のエージェントが転職志望者に対して的確な情報提供とアドバイスをするために、業界の状況を組織的に幅広く収集することも目的のひとつになっています。

このようなメディアを持っている人材紹介会社は他にはほとんどなく、当社独自の強みとなっているといえます。

――有名企業に取材させてもらうためには、どんなコツがあるのでしょうか。

大前提として、無料で取材をさせていただくわけですから、先方の企業の担当者様のご好意によるところが大きく、「取材先の方々のおかげ」というのが本当のところです。

取材のお願いを出しても、お返事がいただけないところもあります。それでも大手企業の、それもCxOの方々のお話を直接お聞かせいただける企業が少なくないことには、いつも本当にありがたいと感じています。

もし当社が認められているとすれば、記事を掲載するキャリコネニュースの影響力の大きさではないでしょうか。キャリコネニュースは月間1000万を超えるページビューを誇り、働く人を読者対象としたオウンドメディアとしては国内最大級の媒体といえます。

企業側も多忙な中で取材対応をしていただくわけですから、何らかのメリットがなければ応じてくれません。20代から30代前半の働く若い世代にリーチする媒体の発信力を認めていただいているのではないかと思っています。

“面白い問い”には情報収集と分析が必要

――メディアプロデュース事業本部のキャリコネニュースと、リクルーティングパートナー事業本部の組織シナジーがうまく活用できているのですね。

そうですね。とはいえ、媒体力だけあればどんな取材でも受けてもらえるかといえば、そうとも言い切れないのが現実です。やはり、少しでも“気が利いているな”と思ってもらえる「取材依頼の仕方」にもよると思います。

――気の利いた取材依頼とは、どういうものですか。

取材依頼とは、取材対象の企業に向けて「このようなことが知りたいので教えて欲しい」とお願いするわけですが、担当者に「なかなか面白い!」「確かにそれは説明したい!」「ぜひ話をさせてほしい!」と思ってもらえるような問いにすることが大事だと思います。

“面白い問い”を作るには、その企業に関する情報をできるだけ収集し、さまざまな角度から分析して「仮説を立てる」ことが必要になります。単純に「コロナ禍での働き方を教えて下さい」ではなく、

「コロナ禍でも業績が非常に伸びていますね。その理由は何でしょうか。顧客や営業活動、社員の働き方に変化はあったでしょうか?」

という尋ね方に変えることで、この人は自社について熱意を持って調べたうえで、知りたいことがあるのだな、ということが伝わるようになると思うのです。

人への取材でも、漫然と「自己紹介をお願いします」ではなく、転職履歴を調べたうえで「業界的にはA社も考えられたはずですが、なぜB社を選んだのですか?」から始めた方が、相手の負担を減らせるし、深いところまで掘り下げられるのではないかと思います。

意地悪な質問も入れて「提灯記事」にしない

――企業の情報収集はどこまでやっているのでしょうか。

企業のウェブサイトは細かく見ます。さらに上場企業であれば、外資企業を含めてIRの資料を見て、直近数期の業績の推移を確認します。

特に注意するのはセグメント別の売上利益の構成率で、どの事業が伸びて儲かっているのかを確認することは重要です。戦略の転換で「主要事業」をシフトしている場合もあるので、最新データの確認は欠かせません。

企業が独自で作っている「決算説明会資料」が分かりやすく参考になることがあります。採用ページも参考になります。どの事業で積極的に人材募集を行っているかを知ることで、その企業がどこに行こうとしているかが分かります。

取材先が決まった後は、その方が個人で書いているブログにも目を通して、よかった記事をピックアップしておきます。「え、そこまで調べているのですか!?」と驚いてもらえるところまで調べ尽くしておこうと考えています。

――企業取材のスタンスとして、特に留意していることはありますか。

あくまでも読者の利益を優先し、中立的な視点で取材し書くことです。企業側としてはPRしたい思惑もあるでしょうが、企業を過度に持ち上げる記述は避けていますし、取材の代わりに取引上の優遇条件を引き出すようなこともしません。

取材は企業のご協力あってのものとはいえ、取材先に気持ちよくなってもらうための「提灯記事」にならないよう気をつけています。むしろ「この施策は本当に効果があるのでしょうか?」といった、やや意地悪な質問を入れるようにしています。

そのような質問でも、業績がきちんと伸びている企業の方々は嫌がらずに丁寧に説明してくださることが多いです。むしろ「社外からはそう見えているのですか。ご指摘ありがとうございます」と言っていただけることもあります。

業績が伸びている企業は情報提供に積極的

――確かに事前に仮説を立てれば、ネガティブな疑念も出るでしょうね。

記事化を意識すれば、読者側に立って知りたいことを聞くことが必要になります。企業側が準備したストーリーだけで書いてしまい、担当者は満足しているけれども、誰にも読まれない記事になれば意味がありません。

提灯記事は、結局は企業のためにもならないのですが、それを理解しない担当者の方がいるのも事実です。そんな記事にしないためにも、こちらからの質問事項をあらかじめ十分練っておくことは大事です。

――取材後には、取材先に原稿を確認してもらっているそうですね。

その場の言い間違いや勘違いもありうるわけですから、事実誤認がないか必ず確認してもらっています。そのうえで、企業の修正依頼に当方が納得できない場合には、申し訳ないけれども直せませんとお伝えする、という方針を決めています。

幸いなことに、これまで表現を強引に変えるよう求める企業はありません。業績が伸びていたり、新しい取り組みを精力的に行っていたりする企業は、情報提供にも積極的で、それに対する反応もオープンに受け止めてくださる傾向にあると感じます。

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