MuleSoftとは?シリーズ1:歴史や特徴、他のiPaaSとの違いを解説

こんにちは。グローバルウェイのビジネスアプリケーション事業部のIです。
MuleSoft開発プロジェクトを担当しています。

DX化推進に有効性の高いMuleSoft

現在、企業では、クラウドサービスやSaaSアプリケーションなどの普及に伴い、その業務領域に特化した様々なアプリケーションの活用が必要となっている一方で、既存システムはレガシーな技術であるといったバイモーダルな状態であり、そのようなIT環境をいかに融合させていくかという領域においてMuleSoftへの期待が高まっています。MuleSoftは様々な技術に対するフレキシブルな接続を可能にする機能とAPIマネジメントの機能とを持ち合わせ、全ての業界で求められるビジネスのDX化が推進される中で、有効性の高いソリューションであります。 グローバルウェイは、システム間連携のリーディングカンパニーとして当該ソリューションの導入を多数支援しており、また、MuleSoft Japan主催のJapan Partner Enablement Award2021において、Certification Award部門、Industry Champions Award部門の2部門で、MuleSoft試験資格取得者数国内No.1として表彰され、社外からの評価も高まり、当社のソリューションへの期待が高まっております。

MuleSoft(ミュールソフト)について、全3回のシリーズとしてご紹介します。
今回は「歴史や特徴、他のiPaaSとの違いを解説」編です。

はじめに

図 1 困った顔で働く会社員

企業が複数のクラウドサービスやアプリケーションを使っているのはよく見る光景です。それらをうまく連携させることが大切ですが、実際にはさまざまな問題が発生することがあります。

たとえば、顧客情報がシステム間で同期されず、同じデータを何度も入力する必要があったり、部門ごとに異なるデータを参照して混乱が生じたりすることです。 また、複数のシステムからデータを手動で集計するために時間がかかり、業務効率が低下することも少なくありません。こうした非効率的な状態は、多くの企業で経験しているのではないでしょうか。そこで、本記事ではそのような問題を解決するための手段としての、MuleSoftを利用したインテグレーションについてお話しします。

MuleSoftのインテグレーションソリューションは、クラウドやオンプレのレガシーシステムを含む複数のシステムやアプリケーションを、APIを通じて効果的に統合・接続します。また、APIの開発・デプロイ・運用にいたるまで、統合された単一のプラットフォームで完結します。構築済みAPIは企業内ポータルで公開することができ、企業内の開発生産性・APIの再利用性向上に寄与します。

今回は、MuleSoftの歴史、MuleSoftの概要、競合製品との違いをテーマにご説明します。

MuleSoftの歴史

図 2 ラバ

MuleSoftの前身である「MuleSource」は2006年に設立され、設立者はRoss Masonです。彼は、企業のITシステム統合の複雑さに対処するためのソリューションを提供するために設立しました。当初はオープンソースのESB(Enterprise Service Bus)としてスタートし、企業のアプリケーションやデータの統合を簡素化することを目指していました。
2009年にはMuleSoftに社名を変更し、2017年にニューヨーク証券取引所に上場、2018年にはSalesforceに買収されました。名前の「Mule(ラバ)」は、重労働を引き受けるラバの特性にちなんでおり、重い仕事を軽減し、迅速に作業を行う能力を象徴しています。ラバは雄のロバと雌のウマの交雑種で、力強さとスピードを兼ね備えた存在です。

MuleSoftの概要

図 3 サイロ(牧場で使われる肥料などを貯蔵しておく倉庫)

APIの統合やシステム間の接続は、現代のビジネスにおいて避けて通れない課題です。特に、データのサイロ化と呼ばれる、異なるシステムや部門間でデータが分断され、情報が孤立してしまう状態では、迅速な意思決定や効率的な業務運営が難しくなり、企業全体の競争力に影響を与えます。

MuleSoftは、こうした問題を解決するために設計された統合プラットフォームであり、API管理、APIによるデータ連携・アプリケーション統合を通じて企業のデジタルトランスフォーメーションを支援します。これにより、システム間の連携が容易になり、データの一貫性が保たれ、業務の効率化や顧客体験の向上が実現します。 MuleSoftの製品は、主に次の2つのカテゴリーで次の製品が提供されています。

  • IT担当者向け
    • Anypoint Platform: API管理、データ統合、アプリケーション統合を包括的に提供するプラットフォームで、システムやアプリケーションの連携を効率的に実現するためのツールです。

  • ビジネス担当者向け
    • MuleSoft Composer: ノーコードでアプリケーションやデータの統合を簡単に行えるツールで、技術的な知識が少ないユーザーでも業務プロセスの改善をサポートします。

    • MuleSoft RPA: 業務プロセスの自動化を実現するロボティックプロセスオートメーションツールで、日常業務の効率化を図るためのツールです。

    • MuleSoft Intelligent Document Processing: AIを活用してPDFや画像を含むさまざまなドキュメントの形式からデータを抽出・整理を支援するツールです。(※日本での提供は未定です。1


中心となるのは、Anypoint Platformです。Anypoint Platformは、API管理、データ統合、アプリケーション統合を包括的に提供するプラットフォームで、システム間の連携やデータの一貫性を確保するための基盤です。ビジネス担当者向けの製品は、Anypoint Platformと組み合わせることで、その効果を最大化できます。

競合製品との違い

MuleSoftは、数多くの統合プラットフォームの中で、その包括的な機能と柔軟性において際立っています。競合製品としては、DELL boomi、IBM API Connect、Software AG webMethods(※最近、IBMに買収されました)、Google Apigeeなどが挙げられますが、MuleSoftには以下のような強み・違いがあります。

  • 包括的なプラットフォーム: MuleSoftは、データ統合、自動化、API管理のすべてを一つのプラットフォームで提供します。これにより、複数のツールを使い分ける必要がなく、ユーザーに対して一貫した操作感や体験を提供することができます。

  • API主導のアプローチ: MuleSoftは、APIを中心とした設計により、新しいサービスの導入や既存システムとの統合が迅速かつスムーズに行えます。これにより、ビジネスの成長を支える俊敏性を提供します。

  • 豊富な連携ツールとテンプレート: MuleSoftは多くの連携ツールやテンプレートを提供しており、SalesforceやSAPなど、主要なシステムとの接続を簡単に行うことができます。

  • コミュニティと学習サポート: MuleSoftには強力なコミュニティがあり、チュートリアルやフォーラムなどの広範なサポートリソースを提供しています。なお、当社はJapan MuleSoft Meetup Groupコミュニティの立ち上げに協力しております。詳細はこちら

  • 複雑さ: 強力な機能を備えていますがプラットフォームは複雑であり、新規ユーザーにとっては急激な学習曲線が必要になる場合があります。これを支援するのが、当社の提供するMuleSoft導入支援サービスでもあります。

1 ※詳細はこちら

  • コスト: 他のソリューションに比べてコストが高くなることがありますが、MuleSoftはデータ統合、自動化API管理までを一つのプラットフォームで提供しており、この統合されたアプローチにより、運用の効率化と長期的なコスト削減が期待できます。

最後に

MuleSoftのざっくりと概要や、実際に何ができるのか知りたい場合におススメのコンテンツをご紹介いたします。

架空の会社ノーザントレイルアウトフィッターズ(NTO)社(リンク先はSalesforceのデモサイト)でのエピソードを交えて、「AnypointPlatform 101 MuleSoftのAPI主導のインテグレーションの基本」というウェビナーが公開されています。エピソード風になっており、とても分かりやすいので、おススメです。

事例とデモで理解する:MuleSoft 製品の概要と利点から、情報を入れて「ウェビナーを見る」をクリックすれば見ることができます。

冒頭部分は次のように始まり、それ、Anypoint Platformなら解決できるよという流れで、実際のデモを交えて、どのような機能があるかを各部門の担当者(システム管理者、営業部門担当者、運用管理者etc…)をロールプレイしながら進めてくれます。冒頭エピソードに興味を持たれたかたは是非閲覧してみてください。

~冒頭~

レイチェルは、ノーザントレイルアウトフィッターズ社(NTO)のファンでアウトドアが大好きです。彼女は今年初めてハーフマラソン大会に出ようと、検索エンジンでマラソンについて下調べします。

彼女はNTOを頻繁に利用しているため、彼女が閲覧しているWebサイトには、NTOの広告が表示されます。

彼女はWebサイトに表示されていたNTO社の広告をクリックし、NTOのECサイトにアクセスし、お気に入りのウェアを見つけ、カートに入れます。

その時です。別の用事が飛び込んできてしまいました。顧客が購入前に離脱してしまうことはよくあることです。

NTO社としてはせっかくカートに入れた商品を破棄されたくないので、彼女にメールを送ったり、Facebook広告を出したり、スピーディーに購入できるようにモバイルアプリをダウンロードするように促したりします。

彼女はこのモバイルアプリが気に入り、モバイルアプリから購入します。ところが、ウェア購入後にマラソン当日までに届かないことがわかります。

そこで、彼女はカスタマーサポートへ連絡します。カスタマーサポート部門のスタッフは、彼女の購入履歴をすべて把握していて、リピーターだとすぐわかるため、彼は日ごろの利用に感謝し、追加の費用なしで優先配達を申し出ます。

彼女は感激します。これは今日、我々が期待しているような体験ですが、すべての企業がこのような体験を提供できるわけではありません。それは簡単ではないからです。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事を読んで、グローバルウェイにご関心をお持ちいただけたら幸いです。

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