目次
グローバルウェイの取締役CTO・CISO 兼ビジネスアプリケーション事業本部長の梁行秀(やな・ゆきひで)です。当社では新型コロナウイルス感染拡大直後の2020年2月から、全面的なリモートワークを推進しており、今年3月で3年目に入ります。
私たちビジネスアプリケーション事業部では、一部の事務作業を除き自宅などで業務を行っており、リモート率は98%にのぼっています。
社内では、地方在住のスタッフを現地採用してきた経緯から、コロナ禍前よりリモートワークの環境やルールが準備されており、実際に運用してきた部署もありました。これも外資系企業出身の各務会長や取締役の先見の明によるものです。
それでも、ビジネスアプリケーション事業部の「ソフトウェア受託開発」を完全リモートに移行するには大変苦労した、といわざるをえません。試行錯誤はいまだに続いています。今回はこの2年間で得た知見を当事者の立場からご紹介します。
作業量の多いソフトウェア受託開発は、複数のエンジニアが力を合わせてチーム体制で行う必要があります。そこで発生するのが「コミュニケーション」です。
コミュニケーションの労力は「n(n-1)/2」という数式で表せます。例えばメンバーが3人のチームでは「3(3-1)/2=3」となり、三角形の頂点を結ぶ線の数は3本です。
ところが、メンバーが5人に増えると「5(5-1)/2=10」となります。人数が2人増えて1.7倍になっただけで、コミュニケーションの労力は3倍以上に増えるのです。
さらに、同じオフィスで顔を合わせて働いているときには、同時に複数人と会話ができたり、コミュニケーションを取る人を即座に切り替えて会話をすることが可能でした。しかしリモートの場合は、ウェブを使用した同時、通話になります。するとなぜか発言がしにくくなったり、別の会話を複数の人と同時にすることが難しくなります。
リモートワークによって、コミュニケーションコストが増大するのはもちろん、アイデアを生み出す自由な雑談や意見交換などがしにくくなることで、コミュニケーションの質にも影響してしまいます。
そう考えると、現状のテクノロジーにおいて、リモートワークは1ヶ所に集まって話す以上の生産性は出せないという結論になっても不思議ではありません。リアルに会って作業を進める方が効率的になるのは、どうしても否めないのです。
このようなネガティブ面から、最近ではリモートワークの頻度を減らし、「最低週2日の出社」などを社員に求める会社も増えてきました。確かに業種によっては、どうしても出社が必要な業務があることも理解できます。
しかし、私たちビジネスアプリケーション事業部では、デメリットが生じるおそれのある環境をあえて選択し、そこで生じる問題をひとつずつ解決しようと考えました。このコロナ禍を「チームが成長できる千載一遇のチャンス」にしようと考えているのです。
ソフトウェア開発は、生産業や接客、医療福祉などリモートワークが困難な業務とは異なり、「リモートワークにチャレンジする権利のある業務」です。そのことを大いに活かしていくべきでしょう。
完全リモートワークでの受託開発を実現することで可能になるのは「エンジニアの選択肢を増やす」ことです。これまで何十年も会社に出勤するスタイルしか知らなかった日本人が、初めて新たな選択肢を持てるチャンスが到来しているのです。
完全リモートワークでの開発スタイルを獲得するとロケーションフリーになり、地方在住者の方や外国在住の方と一緒に仕事をすることが可能になります。実際、当社でも沖縄に住んでいる方とプログラミングをしたり、タイに住んでいる方とUI (User Interface)を考えたりする実例ができています。
自分自身が好きな場所で仕事ができるようになることも、大きなメリットです。夏は避暑を兼ねて北海道から、冬は語学勉強のためイギリスから仕事をするなど、これまでなら会社を辞めてからでないとできなかったことが可能になります(仕事によっては緊急時に出社可能な場所にいる必要がありますが)。
コロナ禍は負の出来事ではありますし、リモートワークの制約も確かに存在します。しかし、そこであえて険しい道を進み、困難に対する見方や考え方を変えてみて、新たな行動を探ることで、人や組織は成長していくのではないかと日々考えております。 ビジネスアプリケーション事業本部に興味のある方は、ぜひ「採用に関するお問い合わせ」からお気軽にカジュアル面談にご参加ください。