これからの製造業のDX推進に本当に必要なこととは?

法人向けクラウドベースのCRM(顧客管理)ベンダーのシェアNo.1企業として、世界で15万社以上が導入しているクラウドベースのサービスを提供。そして「世界で最も革新的な企業」であるセールスフォース・ドットコム。製造業のDX推進における課題と必要とされる取り組み、その中で、Salesforceが担っていくべき役割について株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 製造ソリューション本部 本部長 兼韓国リージョン担当 高野忍氏と株式会社グローバルウェイ代表取締役社長 小山義一の対談をお届けします。

製造業でトップクラスの実績を持つ「Salesforce」の実力


⾼野 忍氏(以下:高野) 
セールスフォース・ドットコムは、1999年にアメリカのサンフランシスコで創業しました。日本は1年後の2000年に東京オフィスを開きました。セールスフォース・ドットコムとして、最初の海外支社ということになります。アメリカではもう22年になりますね。 
主に、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)領域で単にお客様の属性情報だけでなく、お客様の購入前の興味、Web上での行動履歴、営業の訪問履歴、お客様からの問い合わせ状況、そして製品の稼働状況など、すべてはお客様の(我々は360度viewという言い方をしていますが)様々な情報を一元管理して次のアクションにつなげていただくためのクラウドサービスを提供している会社です。

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株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 製造ソリューション本部 本部長 高野忍 

⼩⼭ 義⼀氏(以下:小山) 
私が、セールスフォース・ドットコムのことを知ったのは、かなり前でおそらく2000年くらいだったと思います。2010年以前とそれ以降では会社がずいぶん変わったような印象がありますが、Salesforceという仕組み自体はかなり前から存じ上げていて、私がグローバルウェイに来る前から知っていました。営業マンのプロセスを管理するSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)領域のソフトウェアとしてはかなり有名で、ASP(Application Service Provider)サービスという言い方をされていましたが、それが発展して先進的なプラットホームになっていきました。それがちょうど2010年頃でしたでしょうか?すごく広まって多くの人に使われるようになったのがその頃ですよね。ノーソフトウェアと言われていましたね。

高野 
はい。当時、丸に斜線を入れて「Software」という英語を入れた「ノーソフトウェア」というロゴを掲げていました。弊社はクラウドしかやっていないので、従来型のソフトウェアのように、まず購入して、インストールしてセットアップ、ということをせず、ネットワークケーブルを挿せばすぐに使えるものを提供することが、弊社のコンセプトでした。 

小山
当時、できるだけカスタマイズしない、標準で利用できるものを最大限活用していく、という概念が画期的だと思いました。今までは大手システムベンダーにユーザー企業から「こういう仕様のシステムを作ってください」とお願いをして、その個社ごとの仕事の仕組みを作り上げてもらい、それを運用保守していました。

そういう世界から脱しようという力強いメッセージがノーソフトウェアにはありましたよね。我々ソフトウェア業界に従事している人間からすると若干寂しい気持ちもありましたが、やはり時代の流れとしては重要な考え方ですし、私としてもそういう世界がやってくるという明確で強烈なメッセージを受け取ったことを記憶しています。

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株式会社グローバルウェイ 代表取締役社長 小山義一 

高野
弊社の創業者であるマーク・ベニオフ(現会長 兼 CEO)が、創業当初掲げた言葉で「コンシューマーの世界ではAmazonで物を買うことは当たり前のように簡単にできるのに、なぜビジネスソフトウェアはそうできないんだ」というものがありました。彼が創業するきっかけになったことでもあります。B to Bの世界においても、Amazonで物を買うようにサービスが使えるようにしたいということは、創業当時からの目的でもありました。

製造業のDXに対する「Salesforce」の貢献 

高野 
Salesforce全体で弊社のソフトウェアは、製造業以外にも、金融、流通、小売、通信、官公庁など多くの業界で幅広く使っていただいており、その中で私は製造業を担当させていただいております。

これまで製造業というのは、製品を作ることを中心としてきて、他よりも違う機能などで差別化を図るために、新製品を作るのが当たり前でした。昨今では、機能では差別化できない時代になっています。例えば携帯電話の機能ひとつとっても、どこか1社が新しい機能を入れれば、1年以内には他社も同様にやっている、価格までも統一化されてしまう状態です。そのため、製品以外のところで、いかに差別化を図るかというのが、製造業の大きな課題なのです。

従来の製品の作り方、従来の営業の仕方、従来のお客様への接し方では太刀打ちできない現代、デジタルをいかに活用していくか、というところにシフトしてきています。お客様が購入する前の段階で、様々な製品をインターネットで比較見当している行動も、デジタルでは当たり前のように追うことが可能で、そのデータをもとに対面するときにはどういった行動を経て対面しているかまで分かるようになります。そのような情報を入手してから、必要とされる情報を事前に用意して、対面するときにはじめて購入いただけるか勝負できるわけです。

それ位やり方を変えていく、繋がり方を変えていくということが、デジタル化として求められるところになります。若しくは、製品を購入されたお客様の利用状況までも分かるIoT(Internet of Things)の技術によって、インターネットでつながった上で、製品の利用状況、稼働状況、不具合などすべて知ることができるので、お客様から調子が悪いと言われる前に、交換部品を持っていくことができます。
このような形でお客様との接し方を、製品以外で変えていくことで、他社との差別化を図っていくことを製造業は考えています。 

小山 
まさしくその通りですね。
コロナ禍になって、顧客動向が大きく様変わりしました。我々の周りでもデジタルシフトが加速度的に進み、今まで対面で会っていたお客様と会えなくなり、オンラインでつながる機会が増え、デジタルの世界でお客様の行動を掴むことが、以前にも増して重要になってきました。

製品購入の行動動線も、昔とは随分変わってきています。自動車を購入しようと思ったときに、これまでであれば、製品スペックを知るために、ディーラーに実際に足を運び確認をしていたのですが、最近はインターネットで調べてからディーラーに行くことが当たり前になっています。昔は10の候補があれば、10の候補を見にディーラーに行っていたのですが、今は、3か4ぐらいに候補が絞った状態になってからディーラーへ行きます。その状況において既に選ばれなかった候補があるわけです。そこで絞られた3か4の候補に入ることがメーカーにとっては重要になってきますよね。あとは買った後のリテンション(保持、維持)を高めていくことですね。年に何回か買えるものであれば、リテンションを高めてもう1回買っていただけるような試みが重要視されていることが、ここ数年の大きな変化です。こうした変化の部分をいち早く推し進めてきたのが、Salesforceです。 

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高野 
随分変わってきているとは言え、他の業界に比べて製造業のDXはまだまだ遅れています。サービス業の方が圧倒的に早いですね。製造業が他の業界よりなぜ遅れているかと言うと、サービス業、金融業、通信などは、ITが無いとビジネスが成り立たないのですが、それに反して製造業というのは「良い製品を作れば売れるのではないか」というマインドがまだまだ根強く残っていると考えられます。 

小山 
他の業界と比較するとまだこれからの業界ですね。でも、一番変わらなくてはいけないのが製造業だと私は思っています。私が体感しているのは、製造業の物づくりのスピード感の違いです。

例えば自動車製造であれば、企画して、製品の仕様を決め、量産にのせるまでのプロセスが、発売の3年前から始まるという長いスパンに対して、ソフトウェアの世界はすごく早いです。
例えば、スマートフォンアプリですが、気付けばアプリのアップデートの知らせが来ています。昨日きたばかりなのに? というくらいのスピード感です。

ソフトウェアの開発は、どんどん早まり、日々バージョンアップされています。その開発サイクルの違いは、製造業であれば物を起点に考えるため、1年から2年のロングタームになりますが、ソフトウェアのアップデートは下手したら一週間単位のタームになります。製品の開発サイクルの違いというところに苦しんでいる企業が多いと思います。とはいえ、日本の一番大きな産業は、製造業ですからね。この革新をなんとか進めていかないと日本の産業自体が、近い将来に相当な打撃を受けることになります。

高野 
製造業をさらに分解して考えると、自動車を代表としたB to Cの製造業と、工場で使う装置を作っている製造業、いわゆる B to B(例えばペットボトルの素材などを作るなど、マテリアルに近い化学業界よりの製造業など)は、同じ製造業とは言え差があります。コンシューマーに近いB to Cですと、お客様の行動を意識するので、意識そのものが高いです。先ほど小山さんがお話しされていましたが、昔、自動車を購入するまでに、何回ディーラーに足を運んだでしょう、という調査がありましたが、平均7回でした。今は1〜2回。つまり、ディーラーに行く時には最後の値段の交渉だけということです(笑)。 

製造業でDXがどれくらい進んでいるかというお話しが先ほど出ましたが、今年調べてみました。まずDXの必要性ですが、大企業や中小企業合わせて、8~9割が必要だと答えていますね。ではDXに取り組みをされていますか?という問いに対しては、一気に半分に下がります。さらに、取り組んでいると答えた企業に、うまく進んでいますか? と聞いたら、はいと答えたのが、1割くらいでした。 

私が考えるに、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が、バズワードになっています。「デジタル」という頭文字ばかりが、大きくなりすぎて、「ITを使うこと」が目的になってきている気がします。

でも本来重要なのは、「トランスフォーメーションの」方で、仕事のやり方、お客様との接し方など、まず製造業としてのビジネスのあり方を見直して変革することがメインでなくてはいけないはずです。でも「デジタル」ばかりが先行して、まずは何かITを買えばなんとかなる、という風潮になっています。結果的に、何のためにこれをやったんだっけ?ということになっている企業も多いですね。 

小山
そのあたりを、Salesforceと一緒に、お客様があるべき姿に導けるよう、啓蒙活動も含めて推し進めていくことが、私たちの役目です。

「DX」 と言っても、何かソフトウェアを買ってきて、それを導入すればすぐに何かが出来ると言うわけではなく、製造業は、自分たちが製品を作って売ってきたビジネスだったものを、新しいサービスを使って稼げるような形にして、新しい形態のビジネスの仕方、お客様への価値の提供の仕方を見出していくタイミングになったと思います。

本来であればデジタル世界において製造業として、どのようなポジションで何をしていきたいのかをきちんと考えて、それに適合したロードマップを持って進めていかなくてはならないですね。でもDXというと、IT部門に重圧がかかって「うちもDXをやらなくては。なにか検討しなさい!」「AIとかデータ分析が効果があるって聞いた、うちはどうなっているんだ?」というところから始まり、気持ちだけ焦って、うまくいかない、形にならないことが多いです。     
日本のIT投資は、今まで人が何十人もかかってやっていたところを、システムを導入すれば5人でできる、コスト削減効果がこれだけあります、というような予算の取り方をして定点的なゴールを目指すことが多いです。
 
DXを推進する上で一番大きな問題は、新しいサービスを作っても、それが売れるかどうかわからないことです。今までのような投資対効果で今後確実に費用が下がるから、こちらにこれだけ投資することはメリットがある、とまでは言い切れません。定点的なゴールではなく、ゴール自体を探索していくようなアプローチが必要となります。それが大幅に踏み切れない要因にもなっています。少しずつ、よいアイディアを、短いサイクルで試してみて、その中からこれを売れる目安が付いたら、スケールしていくようなやり方をせざるを得ないですが、日本のシステム開発のプロセスはそのようなやり方が苦手ですね。 

高野 
そうですよね。製造業で、1980年代後半から2000年ぐらいまでの取り組みの一つに、有名なBPR(Business Process Re-engineering:プロセス再構築)という言葉がありました。
これは改善活動という意味なのですが、当時のやり方を効率化するかとか、悪い部分をどう改善するか、というのが目的で、基本的には営業のやり方、作り方のベースは変えないという考え方でした。

DXは改善ではなく、変革という意味で、どちらかというと、売るものを変える、売り先を変える、売る方法を根本的に変えることなので、改善とは違うのです。今日のDXに取り組んでいらっしゃる製造業は、BPRをやっている、という印象を受けています。製造業におけるDXが効率化の域を出ていない、まだ武器までにはなっていないのです。

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小山 
そういう意味では、まだこれからです。単純に効率化が悪いわけではありません。攻めるためのスリムアップという意味では重要な取り組みです。

最近のDXは、攻めのDXとか、守りのDXという言葉が使われることが多く、守りの方は「効率化」で、攻めの方は「顧客接点を使って新しいサービスを作る」、「新製品を発売する」などといった意味で表現されています。その中でも守りに徹するDXでは、あまり意味はなく、攻めるための守りでなくてはならないと思います。

例えば、顧客接点の情報を使って新しい付加価値をつけて行く、と考えた場合、顧客情報が今取れてなければ何もできないので、まず取れるようにする、それをするために工数をかけるだけでは意味がないので、デジタルの世界で効率的に情報が取得できるにように環境を整備する必要があります。その次に繋がるような仕掛けのために、今足元を固めていくというのであれば、それはとても良いことなのですが、守りだけに徹する企業も多いのは、課題になると思います。

注目のソフトウェア「Manufacturing Cloud:マニュファクチャリングクラウド」の役割 

高野 
「Manufacturing Cloud」をリリースしてすでに約2年たつのですが、これはもともとSalesforceの、SFA (Sales Force Automation)という営業支援システムのツールひとつ「Sales Cloud」をさらに製造業に特化して開発したソフトウェアです。多くの業界に幅広く使っていただく弊社のサービス、このSFAの「Sales Cloud」は物事を決めて、議論を詰めて、最終的にご契約いただき、購入していただくという、単発の営業商談、案件などのビジネスモデルに最適なソフトウェアです。ただ、製造業は、新製品を出す場合、世の中にリリースし、そこから一定期間製品を量産します。そういう量産タイプは、毎日のように注文が来て、それを捌いていくリピートオーダーになります。

そのリピードオーダーにフィットして対応できるのが「Manufacturing Cloud」なのです。製造業の多くは、リピートオーダーのビジネスの比率が高いので、部品や素材で、同じものを数万単位で作って、お客様が欲しいタイミングに届ける、この部分の営業活動を支援するには製造業に特化した機能のサービスというのが必要だと考え、これを活用していただいています。 

小山 
お客様情報を中心として、いろいろな情報を管理するという仕組みは、Salesforceのコアな機能として、確固たるベースがあります。その業界ごとのお客様との接点、情報の扱い方とかが違うので、元々あるベースを活用した業界特化型のソリューションが多数展開されていて、その中で製造業向けに特化し、更に営業に対してフィットできる機能が強化され「Manufacturing Cloud」は、製造業の反応、引き合いも多いのではないですか? 

高野 
おかげさまで、今引き合いが増えています。
製造業の構造で見ると、最終製品というのでしょうか。Apple製品のiPhoneを例にしますと、iPhoneを作る上では、この中に様々な部品が入っていますよね。それは1社ではなく、複数社が部品を提供しています。製造業のピラミッド構造を考えると、裾野の部品メーカーが非常に多いです。ここのほとんどがリピートオーダーを中心としたビジネスが行われております。そういったニーズが多く、そのリピートオーダーに対応できる営業支援の仕組がどうしても欲しいという企業は結構多く、ご相談いただいています。 

小山 
実際、製造業では、部品を2カ月前から製造準備して1カ月単位で10月は10万個、11月は20万個という納品管理を未だにExcelでお客様とやり取りしているのが現状ですからね。 
それが、「Manufacturing Cloud」を導入することによって、情報を一つの所にちゃんと納めて、それを全員が共有できるようになるというのは、とても価値のあることだと思います。

特に調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れの「サプライチェーン」では、数字の読みが重要になります。来月部品を10万個欲しいと連絡があると、部品を作る人たちは10万個と言うけれど、あのお客様はよく直前になって15万個と言うので、余分に5万個も作っておこうか、などのバッファを積んだり、リスクを積んだり、いろんな数字が現場では溢れています。それが一つの情報としてまとめられていて、生産、営業、資材調達の担当全員が、一つの情報を持って動いていけるのはすごい大きなインパクトがあることですね。

高野
以前は、製造業の営業がお客様のところに行って、来月どのくらい需要があるのかを常に聞いていました。それをExcelで一生懸命まとめて、会社に戻って、工場側に渡し、工場側がそれを見て、このくらいの材料が必要ということで、調達に進みます。次に製造側は、いつどのくらい人員が必要で、製造ラインはどこを空ける必要があるかと考えます。でも、やっぱり10万個追加とか変更が生じることがあるわけです。部品メーカーの製造業があれば、その下にまたその部品を作るための部品パーツメーカーがあります。それが、どこか1カ所変わることが各社で情報共有されていけば、無駄なく最適にお客様に必要なタイミングで必要なものを届けられる、という製造業が一番大事にしていることがカバーされます。 

「Manufacturing Cloud」は、従来の我々のSFAを使っていただいていたお客様が、乗り換えて使っていただくことが現状は多いですが、最初はどんなものかな、という感じで、実際に使っていただくと価値をわかっていただけています。「じゃあ営業はすべてこれにする」と、変えていただくことも多いですね。 

小山 
また、Excelにない機能としては、情報が一つのデータベースにまとまるので、今期この実績なら、来期はきっとこのくらいになるだろうという、今後の予測シュミレーションをシステムの中でやってくれることも大きく効果を生む部分だと思います。今までのExcelでは、経験と勘と知恵みたいなところで動いていたものが、専門家でなくてはできなかった領域も含めて、予測モデルのもとに予測された数値が出るので、専門家の経験と勘と知恵を使う必要もなくなります(笑)。 

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高野 
昔は、資材マン、調達マンと言われていた資材や部品の必要数を確保する人員も含めて、生産計画はとても重要な役割でした。いつ、どこで、何個作ればいいか、生産ラインにどれくらいの人員が必要かをすべて考える担当がいました。最初はExcelで十分だったのが、顧客も増えて、扱う製品も増えてくると、管理しきれなくなり、最終的に営業と工場で揉め事が起きます。作りすぎたのは誰の責任か、不足しているのは誰の責任かといった揉め事になります。こういったことも全てのデータが溜まって常に共有できていれば、お客様の注文された情報と、実際の需要情報との乖離が数字で見られるので、数字を分析してある程度の予測することができます。AIが考えてくれて、数字を示唆してくれます。その変が先ほど話に出た「デジタルを活用する」ことなのですよね。 

小山 
グローバルウェイもこの領域に関わっています。Salesforceがリリースしている製品の様々な機能を最大限、お客様のビジネスや業務に活用できるような形に設定して提供するという形で関わっていますね。 

パートナーシップとしてのグローバルウェイの魅力

高野 
小山さんがいちコンサルタント時代から、お付き合いさせていただいていました。 

高野
はい。その中で我々がグローバルウェイに期待するというのはおこがましいのですが、やはり期待しております。我々も多くのパートナーがいるのですが、単にSalesforceの製品をお客様に合わせて作るだけではなく、お客様のビジネスに足を踏み入れていただいて、お客様のやりたいこと、本当にやらなくてはいけないこと汲み取って、お客様を成功に導いてくれる。これってIT以外の部分ですよね、でもそこが一番重要なところなので、そこまで含めてお任せできていますし、そこが一番信頼できるところですね。 

小山
我々からすると、Salesforceという仕組み自体を理解していますし、そこに対して、お客様にヒアリングして、お客様を理解しようと受け止めていくと、じゃあこの製品を使った時にどういう世界が、どんな景色が見えていくかは私たちが一番分かります。お客様だけではなかなか見えない景色です。自分たちの業務は分かっているけれど、この製品をどうやって使えばいいのかとか、どういうことにフィットさせていけば景色が見えるようになるかなど、分からないところを少しずつ一歩ずつ、お客様にこういう景色は見えますからというのを伝えて、一段一段階段を登っていくのが、Salesforceのインプリメント(Implement・実装)をお手伝いする立場にいる私たち含めたベンダー全員が頑張らなくてはいけないところですね。

一番良くないのは、お客様が「今こういうことやっているのだけど、こういう機能がないと困るよ、全部作ってくれ」と言われたことを真っ正直に受けて全部作ると、「こんな使い方ができるんだったら今まで僕たちが必要だと思っていたこの機能いらないじゃん」そういうことが起きます。結局お金をかけて作ったものが、半分は使ってないということになるので、それを避けるために、こういう素晴らしい製品を導入するからには、それをできるだけ活用して企業の新しいビジネスにフィットできるような指導を行なっていくことを一番大事にしています。

Manufacturing CloudやMuleSoftでの新しい挑戦 

小山 
SalesforceのCustomer 360というキーワードも出てきましたけど、昔はSFAから始まって、「コールセンター」とか「フィールドサービス」など、お客様設定に対してサービスの裾野が毎年のようにすごく広がっています。ECサイトも作れるようになりましたし、年々広がりをみせて、私たちとしては今までやってきことを続けながらも、Salesforceが広げていく新しい領域を率先してお客様に導入支援できるベンダーを目指しています。

具体的には、インダストリー特化の「Manufacturing Cloud」や、あとは「B2B Commerce」 と言われている代理店系のECサイトを作る仕組み、Salesforceだけではなくて、基幹系のシステムのSAPとか様々なシステムと繋げる「MuleSoft」、といった新しい部分も積極的に導入支援をして、セールフォースが考える世界観全体が体現できるようなベンダーになりたいですね。

高野
我々だけで、お客様を成功に導くことができるかというと、残念ながら、それは難しいですね。パートナーの力があってこそだと思っています。お客様の成功を導いてもらえるところが我々にとっても重要な部分になっているので、小山さんが言ったことは、本当に我々も必要としているところであり、お客様も必要としているところでありますね。  

小山
お客様起点というソリューションとしては、一つのベンダーのみに繋がる方が効率がよいですよね。ある領域はAのベンダーで、この領域はAが得意じゃないのでBのベンダーにというのでは、非効率です。全体の世界観がリードできるベンダーが必要とされる時代だと思います。
 
グローバルウェイのSalesforceのビジネス取り組みというところですが、もう10年近くなると思います。Salesforceのソリューションを活用したいお客様に対して導入支援を行っています。最近は、新しいソリューションを使って、お客様の起点を含めた全体的なソリューションのプロバイダーとして成長することに取り組んでいます。

特に、新しい領域は力を入れていて、Salesforceも、おそらくそういう領域でビジネスを広げようとしていると思うのでそこで頼りになるようなベンダーになれるように私たちのチームとしても力を入れています。

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この10年間での製造業における顧客体験の変化

小山 
Salesforceの製品は、10年前でもかなり有名なソリューションになっていましたし、世界中でかなり使われている事実があったのですが、私がすごくいいと感じたのには他の理由があります。元々営業支援ツールは、日本であまりうまくいっていませんでした。営業がわがままな人が多いから(笑)。自分のやり方じゃないと嫌だとか、こんな使いにくいツールではできない、など。日本の今までのシステムはどちらかと言えばバックオフィスに関連したもの、購買、経理、そういうところから広がってきたので、営業領域、せっかくシステムを入れても使わない人ばかりで、苦労していました。

そこに対して切り込んだSalesforceの魅力は、「すぐに変えられる」という点でした。こういったニーズがあればどんどん機能に盛り込める。どんどん変えていける。お客様のニーズ、お客様のふれあい方が変われば、それをシステムとして盛り込んでいけるという可変性の高さが、素晴らしく優れていました。それは私には衝撃でしたね。当時のシステム開発のスピード感からすると、営業が何か一つやりたいということに対して、日々使っているシステムに取り入れられるスピード感というのが圧倒的に早い。そういうすごく大事なところが当時から揃っていました。 

高野
世の中たくさんのITツールがありますが、弊社が大切しているのは、変化対応力です。 市場のニーズって変化が激しいし、早いです。そうするとメーカー側も、それに対応しなくてはいけない。1回作ったシステムを直すのに、何カ月もかかっていては、市場に追いつけないので、早く実現することを担保しないと、本当の意味での活用は進まないのだろうと考えています。できるだけ簡潔に対応するため、レゴのブロックのように部品を用意して組み立てる、簡単に組み変えられれば、形を変えられる、という世界をSalesforceは提供し続けたく思います。 

小山
その変化対応力が本当に衝撃でした。例えば、お客様の情報で今まで名前しか管理していなかったけど、これから住所も管理したい場合、システムで住所項目を管理できるようにしてほしいという希望も、昔はベンダーに見積もり依頼をして、データベースに項目を作って、画面も変更して、となったら、最短で2週間、伸びると1カ月かかることもありました。

でも、Salesforceであれば、エンジニアにお願いして30秒でできてしまう。それくらいスピードに違いがありました。これは本当に凄いツールだということを認識しました、製品のアップデートのタイミング、四半期に1回、年に3回も大型リリースというのがあって、どんどん機能がアップデートされていく、このスピード感で進んだら、他のツールは全然歯が立たないと思いました。Salesforceを使用している企業と、使用していない企業では、大きな差が出てくると、当時強く思いましたね。 

高野
Salesforceの製品はこれらのことを踏襲しています。そのような基本的なテクノロジーの考え方は変わらず、製品としてはオーガナイズされていくので、強いですし、さらにモジュールが年々増えているのもあります。年々強力なツールになっています。 

現在注⼒しているSalesforceの製品

Manufacturing Cloud, B2B Commerce, MuleSoftについて

小山 
今注目している製品は、「Manufacturing Cloud」ですね。
私がコンサルティングファームにいた時に、製造業のクライアントがいて、コンサルティングしたことがありますが、どの企業でもかなり困っています。難しい思いをしていろいろな事やられていることを知っていたので、もっと改善していきたいという思いが、私自身も強いですし、日本の製造業に対して「Manufacturing Cloud」を導入して、企業の価値を向上していきたいです。 

他にはコマース領域もあります。これからデジタルシフトが進んでいく中で、多くの企業が今ECサイトを立ち上げています。昔はAmazonに出店する、楽天に出店する、位しかなかったのが、オリジナルのECサイト立ち上げていくことがこれからの主流になっています。代理店のビジネスでも同じことが起きると思っています。今まではwebやfaxで注文していたことが、ビジネスの世界でもAmazonで物買うようになっているので、もっと進化させていきたいです。Salesforceの裾野が広いとは言っても、外部の様々なシステムと情報が連携するのは非常に重要で、例えばCRMシステムで、お客様の情報と経理・会計の仕組みに繋がるのも一つの事例です。 

私が自動車を買ったとして、私個人の情報はSalesforceで管理されています。私が自動車を買っていることまではSalesforceは分かっているけれど、自動車から私が何回ブレーキ踏んだとか、何キロ走ったというデータは、Salesforceには上がってこないです。それは別の仕組みとなって上がってきます。その別の仕組みで共有されたデータを私個人のデータということを紐づけるためには、更に別の仕組みが必要になります。

そのような繋げる仕組みは、MuleSoftで可能になります。MuleSoftで情報を繋げることで、Salesforceにある情報、システムで吸い上げられた情報が繋がっていきます。その先には、その得た情報を他の企業に販売する。簡単に言うと、私が運転の荒い人間だとして、1日に急ブレーキを3回ぐらい踏むとします。そうするとその自動車の情報がサーバーに共有されます。その情報が私の契約している保険会社に共有されるとこの人はリスクがある、だから保険料を値上げしないといけないという形で活用されます。逆に私が年に何回かぐらいしか急ブレーキ踏まない人だと分かれば、保険会社としてはこの人は安全に運転しているので、保険料を値下げてもいい、という新たなサービスにも繋がっていきます。繋がりを持つためには、私がブレーキを何回踏んだというデータが保険会社に共有されることが必須です。社内でデータが繋がる、それを外部の企業とデータを繋げられるので、MuleSoftは着目されているソリューションだと思いますし、私たちも力を入れています。 

高野
お客様の情報というのは、Salesforceが持っているCRMだけでは完結しないと我々も思っています。その他の製品についてはもちろんのこと、他社製品が持っている情報も含めて、お客様の次の行動に合わせて、いろいろなもの示唆していくことが重要です。製造業からすれば次のビジネスチャンスにつながりますし、お客様との関係も変わっていくと思いますね。  

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小山 
お客様の次の行動に合わせて示唆していくことは今後更に重要になりますね。先ほどの例でいくと、トヨタ自動車が保険会社と組んでサービスを始めたとなると、トヨタが製造する自動車を買うにあたって、安全なドライバーは保険料が安いということがメリットになっていきますね。自動車本来の付加価値にプラスして新しいその外部の企業と組んだ、付加価値を出して行くので、重要な取り組みですね。 

製造業のDX推進における課題と必要とされる取り組み、 

その中で、Salesforceが担っていくべき役割とは 

高野
今後の取り組みはいくつか準備していて、お客様にお話しさせていただいています。昨今の製造業が製品では差別化できないため、どうすればいいか考えて、製造業がサービスを提供していく会社に変わろうとしています。

例えば、Appleを元々はパソコンを作っている会社でしたが、現在はiPhoneが主流です。周りから見れば携帯電話メーカーになりますが、Appleの売上の約14%はサービス提供になります。みなさんご存知のはずですが、AppStoreやApple Musicも含まれます。携帯電話だけでは他社と差別化できないことをAppleが認めています。Appleが考える位ですので、製品+サービスという領域を考えていかないと生き残れない状況になっています。具体的に言うと、お客様の利用シーン、趣味趣向、興味、使用用途、使用回数について、どのようなサービスが必要かということを先回りして提供していく会社になっていかないといけません。

製造業からサービス業にシフトしていくことが製造業には必要だと考えていかないとなりません。そのサービスを考えることをサービタイゼーションと言いますが、製造業のサービタイゼーションを一緒に考えるところを我々はやろうとしています。どうやって儲けるか、どうやって提供するか、どうやってセグメントするかを含めて一緒に考えています。

その中でデジタルをどう活用していくか?あくまでもデジタルは後からで良いのでサービタイゼーションを一緒に考えませんか?というところからやっていかないと、日本の製造業が変革していくことは難しいと思います。我々もそこまで入っていこうと進めています。

小山 
製造業におけるITのポジショニングが非常に弱いということが大きな課題としてあります。ビジネスはビジネスの人材、 ITはITの人材という位置付けになっており、今までは役割を分担して、お互いに議論しながら進めていました。我々はITの人材という位置付けですし、お客様は製造業のコアなビジネスを進めてきたい人材がいるので、そのような人材が会社も超えて、一緒に議論をして、お互いに知っていることを共有して、新しいビジネスの創出について議論を検討することから一緒にやりたいと考えています。というのもものづくりにフォーカスしてきた人材が、いきなり明日からサービスの人材になるのは難しいですね。

サービスからSalesforceとグローバルウェイが一緒に参画していきたいと考えています。実際に我々の業界から製造業に行く人が最近増えていますね(笑)。

高野 
多いですよね。「昔同業者でしたね」という声を掛けられることも少なくありません。 

小山
ソフトウェアベンダーで重要なポジションにいた方が、今度は製造業へ移って、CEOやCIOのポジションに就いて、製造業側の仕組みを立ち上げる方も増えています。それだけ製造業のDXは難しいですし、その覚悟でこれからもDX推進を進めていきたいですね。 

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プロフィール

高野 忍(Shinobu Takano) 
株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員  
製造ソリューション本部 本部長 兼 韓国リージョン担当

大手製造業、通信業にて、基幹業務システムの企画、導入に、プロジェクトマネージャーとして従事。2006年に、Software AG(旧webMethods)に移り、Integration/SOA/BPM 
/API Managementの領域において、ソリューションアーキテクトマネージャーとして従事した後、2012年セールスフォース・ドットコム入社。大手製造業のお客様を担当する製造ソリューション本部をリードし、お客様の新たな取り組みを支援している。 
また、2018年からSalesforce Koreaのソリューションエンジニアリング部門も兼任し、日本のみならず韓国のお客様への提案にも尽力している。

小山 義一(Yoshikazu Koyama) 
株式会社グローバルウェイ 代表取締役社長

慶応義塾大学卒業後、NTTソフトウェア株式会社(現NTTテクノクロス株式会社)へ入社。外資系コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)への出向を経て、NTTソフトウェアに帰任し、コンサルティング事業の立ち上げに従事。企業システムの企画構想から、SAP等の基幹システム導入、システム連携基盤の構築等、多くのプロジェクトに従事。その後、2012年に株式会社グローバルウェイに入社。クラウドソリューション事業の責任者として、様々なクラウドソリューションの活用のためのコンサルティング支援や、開発プロジェクトに多数従事。2018年にデロイトトーマツコンサルティング合同会社へ入社し、様々な企業のデジタルトランスフォーメンションの支援を実施。2020年11月には株式会社グローバルウェイに帰任し、代表取締役に就任。 人材と技術の両輪で企業のデジタルトランスフォーメーションをご支援するサービスの提供を牽引している。

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