interview

ビジネスアプリケーション事業本部
取締役CTO兼CISO

必要なのは「コンサルタント兼エンジニア」を担う人材。日本のエンジニアへの想い

「コンサルタントとエンジニアの境界線がなくなりつつある」と語る、株式会社グローバルウェイ・ビジネスアプリケーション事業部本部長 CTO兼CISO。次々と湧き上がる興味に挑戦し続けた自身のキャリアを振り返りながら、次世代エンジニアの育成にかける熱い想いを語ります。

IT業界における「コンサルタント兼エンジニア」人材の重要性

IT業界では、コンサルタントとエンジニアの境界線がなくなりつつあると感じています。ひとつのものを作り上げるプロセスで、ひとりの人間がタイミングによってコンサルタントとエンジニアの肩書きを使い分けているイメージです。

コンサルタントとエンジニアは別職種ではありますが、コンサルタントにもエンジニアのような「作る能力」が求められますし、エンジニアにもコンサルタントのような「課題解決していく能力」が必要です。

結局は同じ目標に向かって行動しているわけですから、「コンサルタントだから」「エンジニアだから」という理由でやるべき作業を制限する必要はなく、ひとりの人間が最初から最後までできるようになることが一番の理想形です。そういう人材を増やしていきたいと考えていますし、顧客もそれを望んでいるように感じています。

その背景として、「IT業界のビジネスサイクルが短くなってきている」ということが挙げられます。サイクルが短い以上、業務をより効率的に進めていく必要があるため、従来に比べて「いかに時間を短縮できるか」が重要になってきています。

そうした中では、「コンサルタント兼エンジニア」の役割を担える人材の方が、構想策定からシステム開発までのスピードを速めることができるわけです。構想の段階でプログラムを書いて、実際に顧客に体験させ、改善すべき点があればすぐに直して確認を取ることができる。

これは、時間短縮していく上での大きな強みとなります。既にアメリカでそうであるように、日本でも「エンジニアがものづくりから改善提案までを手掛ける」という手法がスタンダードになっていくと良いと思います。

私はエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、そこからコンサルタントの仕事へと幅を広げていったため、両方の難しさや面白さを理解しているつもりです。その上で思うエンジニアのひとつのメリットは、「仲間を作りやすい」ということです。

エンジニアの仕事は、「自分が考えていることを、モノやシステムというアウトプットとして見せていく」ということです。思考やビジョンを他人と共有しやすいという点で、仲間とつながりやすいと言えます。世の中にある問題や、社会的課題を解決する上で、このことは大きな武器になると考えています。

大事な場面にはコンサルタントがいる。エンジニアから踏み出した新しい挑戦

私がエンジニアとしてのキャリアをスタートさせた原点は、高校生の頃にWindows98のパソコンに入っていた「駅探索ソフト」を使ったことです。あの時の感動は、今でも忘れられません。

大学生の頃には「今後はソフトウェアしか売れないのでは」と思うようになっていました。就職を考えたとき、「世の中が必要としているものを広めたい。でも、作り方が分からなければ売れない」と直感的に思いました。そこで、まずは作ってみるしかないなと考えたのです。

大学卒業後は、企業や官公庁のIT構築、運用などを一括して請け負う通信系SIerに入社しました。会社のこともプログラムのこともわからないまま、3年間ずっと大きな基幹システムのプログラムを書き続けました。協力会社と連携したり、オフショアを使って中国に行ったりしたこともあります。

さまざまな経験を経て、メンバーからプロジェクトリーダーへと着実にキャリア積み重ねていきました。大学時代に思い描いていた「売りたい」という目標を実現するために、最後はプリセールスも経験しました。当時社内賞を受賞したこともあり、実績は残せたと思います。

エンジニアとしての経験から「技術」を知っていたので、プリセールスで顧客に提案するときにも、自分でプログラムを書くことができたのが強みになっていました。今思えば、当時からコンサルタントめいたことをしていたわけです。

ちょうどその頃、世の中ではクラウドが流行り始めていました。でも、当時の会社ではクラウドは使われておらず、このままでは良くないと考え転職を意識していたタイミングで、知人からクラウドに力を入れているグローバルウェイの存在を教えてもらいました。

転職先の選択肢として大手外資系企業もあったのですが、“新しいことをやりたい”という気持ちがあったため、当時まだ上場前のベンチャー企業だったグローバルウェイに飛び込んだのです。

グローバルウェイ入社後、法人向けクラウドソリューション開発事業のマネージャーをしていたのですが、上場して会社が大きくなると、またここでも“次の何かをしなければいけない”と思うようになりました。

そんなときに気になったのが、コンサルタントの存在です。大きなプロジェクトがあると、必ずそこにはコンサルタントがいます。エンジニアだった当時の私は「コンサルタントなんて、いなくてもいいのに」と思っていました。

でも、コンサルタントの存在を否定するのは簡単ですが、やったことがない領域にチャレンジすることで得るものがあるかもしれないと考え、思い切ってコンサルタントの世界に飛び込むことにしたのです。

転職してコンサルタントになってみると、彼らが本当に苦労しながら構想策定をやっていることがわかり、次第にその重要性を実感していくことになりました。

コンサルタントになったからこそ気付いた「日本のエンジニア」への想い

コンサルタントに挑戦するための転職先として選んだのは、会計系コンサルティング会社でした。そこでITコンサルタントとしてAPIの構想を策定したり、自動車会社ので新しいコネクテッドカーの立ち上げに携わったりました。

コネクテッドカーの立ち上げでは、アメリカのソフトウェア会社のクラウドサービスと自動車をどうつなげていくのかを考え、製品化まで持っていきました。クラウド関係においては、グローバルウェイでの経験や知識が役立ちましたし、IoTのような機器に関しては、最初の通信系SIerでのキャリアが活かされていると実感しました。車の中の部品を分解してみたり、プログラムを見たりと、一般的なITコンサルの領域ではないところまで深く関わっていきました。

コンサルティング会社の仕事は、とても楽しかったです。業界の最前線で仕事をして、期待もされて、結果も出せる。ですが立ち止まって考えた時に、「自分のキャリアを積み上げていくだけで本当によいのか?」と思ってしまったのです。仕事で国内外の様々なメンバーと関わっていく中で、私は「日本は海外に負けているな」「このままでは差が開く一方だな」と感じていました。

その理由を突き詰めて考えていくと、日本には「自分でものを作りたいし、作った方が楽しいよね」という考えの人が少ないからではないかと気付いたのです。

自分で作れば自分で売れるようになるし、売るために必要な知り合いも増えていく。そんな風に考える人材をもっと増やしていきたいというのが、今の私の考えです。若い世代にもチャンスをあげていきたいですし、自分の経験から伝えられることは伝えていきたいと思っています。

日本のエンジニアには、職人気質の人が多いです。見えないところまで丁寧に仕事をする人が本当に多い。それはとても価値があることだと様々な人に知ってほしいし、そういう人たちがちゃんと認められ評価されるようにしたいと思っています。

人材を育てていくにあたって、エンジニアを多く抱えている会社はたくさんありました。ただし、裁量があり、「一流のエンジニアに育て上げる」ということをやらせてくれる環境となると、やはりグローバルウェイだったのです。そこで、再びグローバルウェイに取締役として戻ることを決意しました。

次世代のエンジニアたちへ──ものづくりの可能性を認識し更なる飛躍を

グローバルウェイの人材育成方針は「体験させる」ということです。例えば、管理職研修も自分たちでカリキュラムを作って、自分たちのための研修として行うことがモットーです。

そして、もうひとつ特徴的なのは「ものづくり」です。業務以外でいくつかのテーマを設け、任意で集まって自分たちが興味あるものを企画し、1年間かけて作るという取り組みがあります。

参加しているメンバーは「教育」だと思っていないかもしれませんが、自ら課題を設定し、顧客の立場になることで、エンジニアの枠を超えてコンサルタント寄りの発想ができるようになっていきます。これは実際の顧客から課題をもらう業務では教えられないことですから、社内でやるしかないのです。

私自身のキャリアは折り返し地点のタイミングにさしかかっていますが、まだまだ今後も試行錯誤やチャレンジが続きそうでわくわくしています。若いエンジニアたちには、「ものづくりにはもっと可能性がある」ということを認識してほしい。

そのためにも、社会のためになるプログラミングや開発をきちんと学ぶことができる会社を選んでほしいと思います。時間を切り売りするようにプログラムの一部だけ作って終わりではなく、価値あるものをちゃんと一緒に作り上げて、プロセスも噛み締めながら「大変だったね」とカットオーバーの瞬間を共に味わう。そういう貴重な体験をたくさん積んでほしいです。

今の日本にはエンジニアが少なすぎるという危機感を、私は強く持っています。小学校でプログラミング教育が始まりましたが、それだけでは間に合わない状況です。

近い将来、プログラミングは話す言葉と同じように必要不可欠なものになって、もはや「職業」ですらなくなるかもしれません。今、私たちはその転換期にいます。先を見据えて、ものづくりができる力を大事にしながら、世の中にある課題を捉えて解決まで導く力も身につけていくことができればと思っています。

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